建築士事務所-計画工房 辿のつぶやきと家づくりサポート

水たまり

「雨の建築学」日本建築学会編、北斗出版
に寄せた短文より

今時、まちで水たまりを見かけるとしたら路上ぐらいでしょう。迷惑千万な代物という印象があります。車に跳ねられて服は汚れるし、靴はダメになるしノ、又避けにくい所に限って有るものです。昔と比べて舗装が行き届き、交通量が多くなっているだけによけい目に付きます。本来あるべき所ではないところにある水たまりには何の取り柄もありません。

でも、交通量の少ない舗装されていない道にある水たまりは少し様子が違います。ミズスマシは泳ぐ?し、いらないボーフラも湧くしノ冬には氷も張るし、廻りに雑草が生えてたりします。
こうした水たまりはいずれ浸透するなり、蒸発するなりして無くなってしまいますが、実はヒートアイランド現象に対する微気候緩和に貢献したり、周辺緑化や微生物の育成に貢献したり、生物世界(ビオトープ)の原点としての役割を担っていました。原っぱの水たまりなんてビオトープそのものです。

インフラの整備がさほど進んでいなかった時代には好むと好まざるとに関わらず、自然に共存できた水たまりですが、今我々はこうしたものを失いかけています。水たまりは一つの象徴に過ぎません。

まちの地表が舗装等の人工物で覆い尽くされ掛けています。覆われてないのは作物や樹木の育つ場所と個人宅の庭ぐらいのものでしょうか。地上げの痕や舗装された公園や平らな休墾地は見かけますが、原っぱなんてついぞ見かけません。利用できる土地はもう利用し尽くしています。あとは意図的に水の居場所はここ!と規定する代わりに周辺環境を維持している公園やビルの谷間の緑地と言われる所にある池や噴水、古いまちに生きている用水路などが、かろうじてその代役を務めています。それでもヒートアイランド現象も都市洪水もおこります。圧倒的に水の浸透と蒸発の面積が少なすぎるからです。

かって水たまりに代表された雨水の行き先は今、土中に埋め込まれた排水パイプと暗渠になった用水路に直結しています。一見合理的ですがその容量には限りがありますし、雨水の本来の役目を奪っているとも言えます。確かに整備された都市社会において水たまりを放置するわけには行きませんが、水たまりに象徴される雨水の本来の機能と共存する方法を模索する必要はありそうです。

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