建築士事務所-計画工房 辿のつぶやきと家づくりサポート

木構造は意匠のうち

今更という感もありますが、最近の構造計算の偽造問題を引き合いに出すまでもなく、設計には意匠設計と構造設計が(正確には設備設計も…)有ることはご存じでしょう。ただこうした分担が分かれるのは大型建築の場合で、木造2階建ての住宅ぐらいですと通常、意匠設計者が全てを兼ねています。もちろん住宅でも規模にかかわらず、必要に応じてそうした専門家と協働することはありますが…

と言うことは逆に言えば私たち意匠の設計者は構造設計者より構造に詳しいと言うことはないわけです。言わずもがなでしたね。でも、木造に関して言えば、私たちの方が詳しいこともあります。構造計算は詳細な素材の強度データがあって初めて成り立ちますが、天然資源である材木はバラツキが激しい素材だからです。現に今の建築基準法では木造二階建てまでは私たちでも出来る「壁量計算」によってその強度を確認出来る制度になっています。

ただこの計算は単視点なので意匠設計との兼ね合いの中、ちょっと定形から外れた形になった場合等、「計算」は合っていても実際の強度を反映出来ているか、極めて疑問な方法でした。そうした時に構造屋さんとの協働もあったわけです。

平成12年度に性能評価制度が出来た時、私たち意匠設計者はこれをハウスメーカーやビルダーの為の制度と捉えました(私たちは既に個々の仕事を相応のレベルで実現しているという自負があった)が、その中で「構造の安定」という、より詳細な木造の計算方法が確立されました。これは上記の壁量計算よりずっとバランスの取れた計算方法ですが、合板を使わない在来工法では少々手間が掛かり、やはりパネル工法だったり一つの設計で何棟も建てる企業でないと割の合わないものと考えられました。

私はたまたまでしたが、在来工法で耐震等級3の建物を依頼された時、ちょうど良い機会と、全ての計算を自分でやってみました。意匠屋が計算すると結果的に構造要素を意匠的に吸収できて、極めてバランス良く、補強金物をあまり使わず強度を稼げることが分かりました。確認機関はこの時、私を構造屋だと思ってたそうですが、構造もそうした意味で意匠屋がデザインすべきモノです。

梁の補強

柱を撤去した後、それにのっていた梁を新設の梁で吊って固定した例

何でも大変なのは始めだけで、考え方が分かってしまえば後はパソコンソフトに任せられます。ただ私はMac派で、こうした計算ソフトはWindows用しか出ていないのが難点ですが…、仕方ないのでMac上でWindowsXPを動かしたりしています。

こうした経験を踏まえ、今は地元、目黒区の住宅耐震診断補助制度に伴う診断員の取り纏めなどもさせて頂いており、改修工事では耐震レベルを上げながら再デザインすると言うことも出来るようになりました。今後も意匠と構造を一体のモノとしてデザインできるよう研鑽を進めたいと思っています。

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